1979年3月にニコニコ離婚講座を月1回開き始めて以来、子どもたちのことがずっと気がかりでした。「子どものための離婚講座」や母子家庭のネットワーク「ハンド・イン・ハンド」の春夏の合宿などで、子どもたちの声を聞き、別れた親とふつうに会える環境づくりを訴えてきました。

「ママのりこん」(ちくま文庫)、子どもの離婚レポート(フジタ)、「子どもが書いたりこんの本」などを出版してきましたが、親の別居や離婚後、まったく別れた親と会えない子どもは少なくありませんでした。

私が1970年代に訪れた北欧諸国では、離婚時に
「子どもが16才まではいつでも子どもが会いに行けるよう近くに住むこと」
という条件をとりきめ、保育園の送り迎えも両親が交互にするというケースが多数ありました。

日本では、親も子も「会いたくても会えない」状況が多く、「養育費を払わない父親には会わせない」という風潮も強く、今でも養育費の支払は2割にもならないことや、母子家庭の貧困率が高いことから、子どもと父親を会わせるという選択肢をとれない事情もあるようでした。

数年前から、ハーグ条約加盟を我が国は迫られてきました。
これは国際結婚の破綻がふえてきて、夫婦の一方が無断で子どもを国外に連れ去った時に、もう一方が子の返還を求めたら原則として子を元の国に戻すことを定めた条約です。1980年にでき、現在89カ国が加盟しています。

民主党政権下でもこのことは議論され、DVで逃げてきた女性たち、子を連れ去られ会えない女性や男性たち、双方の意見を聞き、運用面での配慮を入れ国内法も整備する形で昨年3月法案を国会に提出しました。しかし、自公に慎重論が多く審議は進まず、昨年末の衆院解散で廃案となったのです。

このハーグ条約加盟を安倍総理は今回の訪米でオバマ大統領への土産にしたかったせいか、急きょ党内をまとめ、年内にも締約国になる見通しです。

私は前述したように、30年前から、親と子が別れても会えるよう、また子どもはどちらの親からも経済的、物理的、精神的に保護やケアされる権利があると訴えてきましたから、加盟に賛成の立場ですが、離婚は人間関係がこじれていること、子どもの福祉だけを考えることができずエゴを愛情と錯覚しているケースが多いこともあるし、国際離婚では逆に子どもが本当に必要としている親と会えないこともあり、ケース毎に慎重な対応をしてほしいと思います。

両親の離婚はそれだけでも子どもに負担なのに、子の取りあいでもめないよう適切な対応が望まれます。

★☆★ ハーグ条約とは ★☆★

国際的な子の奪取の民事面に関する条約
子の利益の保護を目的として、親権を侵害する国境を越えた子どもの強制的な連れ去りや引き止めなどがあったときに、迅速かつ確実に子どもをもとの国(常居所地)に返還する国際協力の仕組み等を定める多国間条約で、全45条からなる。

 

りこんの子どもたち