今月、新潟で知的障害者のオリンピック、スペシャル
オリンピックス(SO)が開かれた。
複数形のs(ス)がついているのは、大会だけでなく日常的に
どこででも、知的障害者とボランティアとのスポーツが
行われていてほしいと意味からだ。

米でケネディ家が始めたSOは、日本では細川元総理の夫人、
佳代子さんが総理夫人になる前に始めた。

きっかけはある時、熊本の女児が世界のSOでメダルを獲った
という記事に驚き、女児とその指導者に会いに行ったところから。
耳の聞こえないその女児は、いつも先生が手を下す合図で演技を
始めていたのだが、世界大会の会場は広く、先生の姿が見えずに
音楽が始まってもその子はずっと立ったまま。
必死で手を振り下す先生に気付いた観衆が総立ちで足を踏みならし、
手を下げたらやっと女児は演技を始めたが時遅し。
音楽は終わり、彼女は失格。しかし審査委員会は彼女に
再チャンスを与え、見事メダルを獲れた。

SOでは予選落ちはなく、順位はつくが全員表彰が基本。
勝ち負けにこだわらないのだ。私も何度かスキー場やスケート
会場でメダルをかける役をしたが、彼らの顔は輝いていた。

パラリンピックは知っているけど、SOってなに?という
世論の中、その趣旨と意義を説明し、ボランティアと寄付を
集め続けたのが佳代子さんだ。こういう活動の理事長などは
“名誉職”と思われがちだが、実際の彼女の踏ん張りは
まさに縁の下の力持ちのものだった。
その彼女も今は理事長を降り、五輪メダリストの有森裕子さんに
後を託している。

しかし、先日の2月の新潟大会の後、次期開催地が初めて
決まらなかった。1億円に上る大会運営の寄付と、延べ数千人の
ボランティアを見つける自信が自治体にはないらしい。
佳代子さんも毎年、SOを開く自治体を説得するため、全国を周り、
長野では念願の世界大会を開催した。

その閉会式で、全ての人々がその違いを認め合える社会に
なってほしいと言った佳代子さんは、今は“勇気の翼インクルージョン”
を立ち上げ、すべての人が包摂される社会作りをめざしている。

彼女のような情熱ある行動家一人に頼るのではなく、
一億総活躍を目指す国=政府こそ、SOの後押しをすべきではないだろうか。

スペシャルオリンピックスを知っていますか?