5年前の東日本大震災では、青森から千葉までの海岸線が
地震と津波によって壊滅的被害を受け、2万人近いかけがえのない
「いのち」が失われました。

そこに国も県もより高いコンクリートの防潮堤をつくると
決めた時、被災したクロマツ海岸林でもトベラやマサキといった
広葉樹は残っていた。そこに注目し、そのと手で最も強く
長持ちする潜在自然植生で防潮林を作るべきだと立ち上がった
人たちがいました。生態学者であり、横浜国立大学名誉教授の
宮脇昭先生と、元総理の細川護煕さんでした。
莫大な量の瓦礫の処理も問題になっていて、その瓦礫を
産めてその上に多様な樹種のたくましい森を海岸線に作る
という構想はすばらしく、私は当時の細野環境大臣や平野復興大臣、
そして農水省の官僚の方々に宮脇先生や細川さんの話を
聞いてもらい、瓦礫を活かしていのちを守る「森の防潮堤」を
こそつくるべきだと奔走しました。
地元住民が反対しているのにコンクリートの長大な防潮堤を
つくるという宮城県に再考を促すため、予算を出す財務省にも
訴えたものです。
そこには、インフラ中心の政策をやめるべきという、私の
長年の思いがあったからです。もともと高齢化した人口過疎の
地に大震災が起きれば、人口流出は加速するでしょう。
流出を食い止めるためにも、巨大なコンクリート防潮堤などの
巨大建造物ではない、安全でしかも人に優しい自然と融合した
町や村をつくるひとつが、いのちを守る瓦礫を活かした防潮堤
だったのです。
あの時、私は落選していて議員ではなかったけれど、国会議員に
なる前から考えていた、巨大施設ばかりをつくる政策を大転換
するべきだと懸命に動きました。

しかし、当時の政権党であった民主党も、その大転換はでき
ませんでした。2年前、硯で有名な石巻市雄勝地区に行きました。
ここでは巨費が投じられ、防潮朝廷と住人の移転先の高台が
作られていましたが、公示が終わる頃には人口は1/3になるそうです。
巨大な防潮堤が守るのは道路だけという皮肉なことになるのは
予見できたことです。それなのに巨費を投じるのはゼネコンを
儲けさせることが優先され、地元の人々の事は後回しと言われても
仕方ありません。

復興予算は32兆円。しかし被災者の生活再建に直接支給される
のは約1%ということです。この国の政治は保育園の問題にしても
30年前からちっとも変わらない。原発もそうです。
故郷に帰りたくても帰れない人々がいる。甲状腺ガンの不安に
おびえる子がいる。それなのに、平気で再稼働が進んでいく。
人のいのちと暮らしを守ることに予算を使うよう大転換するには
政治家総とっかえが必要かもしれません。

最後になりましたが、森の長城プロジェクトは細川さんと
宮脇先生、そして多くの賛同者によって被災地での植樹を
続けられています。

3・11に寄せて~巨大なコンクリート防潮堤より森の長城を!