私は国会議員になってから、まず警察に女性警官を増やすよう要望しました。強姦や強制わいせつなど性的暴行を受けたり、家庭内でも配偶者から暴力を受けた女性たちの心の傷に配慮しながら事情を聞けるようしっかりと研修を受けた同性の警察官が必要だと提案したのです。今、このことはずいぶん改善されてきています。また、法的には強姦罪の法定刑を引き上げることや、被害者の抵抗要件を外すよう訴えました。

強姦されたと訴えても、暗黙の同意があったのではないかと問われ、強姦だと認められるには最大限の抵抗をしなければならないというのが「抵抗要件」ということです。でも、抵抗の度合いが強ければ生命の危険すら伴うこともあったり、恐怖で声も出ず抵抗できないことだってありますよね。

大きな抵抗が必要だという裏には、「些細な暴行、脅迫の前にたやすく屈する貞操の如きは強姦罪によって保護されるに値しない」という考えがあるんですって。命を失ってもいいということなのかと怒りを覚えますね。女には命をかけて貞操を守れといいつつ、その貞操を奪われても物を奪われた強盗罪より軽いなんてホント理不尽。つい最近、アメリカの共和党の国会議員が「真の強姦なら女性は妊娠しない」と言って、物議をかもしましたね。

法務委員会で質問に立つ円

この抵抗要件について私、法務委員会で判例をひいて質問し、おかしいと訴えました。
「強姦されたと訴えた女性に対し、強姦とはいえないという判例なんですけど、ちょっと1部を読ませていただきます。~通常の性行為で着衣が破れるのは間々おこることであり、この事件で着衣が破れたからといって強姦とはいえない~」

ここで、居眠りしていた法務大臣経験のある自民党の長老たちがカッと目を見開いて「何だ、その判例は」と大きな声で異議を唱えてくれました。居眠りしているようで、しっかり聞いていらっしゃるんです、みなさん。

そこで私が「私、寡聞にして我が国の裁判官のご家庭のこと存じ上げませんが、着衣が破れるような性行為をなさっていて、それが普通だと思っていらっしゃるのでしょうか。」というと、みなさん再び「おかしいぞ、日本の裁判官は」と叫ばれました。

強姦罪の引き上げはまだ行われていませんが、裁判員裁判になって、和姦か強姦かの判断に大きな抵抗が必要だというような、おかしな認定は減ったのではないかと期待しています。ただ気になるのは、いまだに加害者ではなく被害者の女性の側が裁判にかけられているかのような状況では、昨今の若い女性のように性体験が早かったり多かったりするとそれだけで偏見を持って見られることです。アメリカのニュージャージー州ではレイプシールド法(※1)というのが設けられているとか。これは裁判において被害者の過去の性体験を暴き、それを証拠としてはいけないというもの。

どの国でも強姦は犯罪として報告される割合が低い代表的な犯罪です。しかも告発されてもここまで書いたように裁判になることも有罪になることも著しく少ない犯罪なのです。法律を変えることと、人々の意識を変えることが必要です。女子力をこういうところに発揮しなくてはね。

第6回はここまで。
次回10月2日から新シリーズ「劣等性の就活」①
「vol.7 寮が閉鎖で就活できない」に続きます。

<脚注>
※1 レイプシールド法(強姦被害者保護法)
アメリカおよびカナダには、「Rape shield law」という通称で呼ばれる証拠法で、性暴力の被害者が訴訟で不利益を受けることを防止する目的で制定された法律。

(目的)
第1 本来、被害者が過去においてどのような性的経験を有するかは、当該具体的な性行為についての「同意」、あるいは、被害者の供述の「信用性」ともなんら関連性はない。被害者の他の性的行為や性的経験についての証拠に証拠能力を認めることは事実判断を誤らせる危険性がある。また、法廷の場においてそれらを問題とすることは、不必要に被害者のプライバシーを侵害するおそれがある。

第2 被害者の性行動や過去の性経験に関する証拠を捜査の過程で収集したり、裁判で公開したりすることは、法廷が被害者の性行や行状を裁く場となりかねず、被害者に無用の羞恥心を抱かせ、さらに被害者が周囲からセカンド・レイプを受ける可能性も大きい。これらの行為が許容されると、被害者が告訴をためらって法的救済が受けられなくなるばかりか、結果として性暴力という違法行為と行為者が放置されることになる。

この法律が制定されるまで、性暴力事件において、被害者が加害者との性交に「同意」していた証拠として、被害者の過去の性経験が提出されるというケースがしばしば見られた。加害者のそうした戦術は、被害者に法廷で多大な屈辱を与え、また被害者が告訴することを妨げる原因ともなってきた。

vol.6 『強姦罪は強盗罪より軽い?』 ⑥「着衣が破れるのは…」