必殺の空手チョップ 今 蘇る!力道山 ~伝説の格闘王 【DVD】より。

八月の暑い日でした。私は小田急線伊勢原駅から、ダンプカーなどの車が通るたびに土ぼこりが舞う舗装されていない国道を歩いていました。 その前々日、力道山の未亡人の父親という人が神奈川県警にいるという情報を得て、まず県警に行き、横浜市内の警察署を片っ端からまわったのです。もちろん1日ではムリで、二日間かけてまわった末、ようやく私は定年で退職した力道山の未亡人のお父さんという人の自宅を聞き出せたのでした。

二日間歩きまわって足が棒のようになっていた私は何でここまでしなきゃいけないのかなとつい弱気に。だって伊勢原は初めて踏み入る土地で、いくら歩いてもめざす住所にたどりつけない。かんかん照りで汗はたらたら、その汗に土ぼこりがへばりついて気持ちが悪くみじめな気持ちになってきました。

実は電話番号もわかっていたのですが、いくら私でも電話して会ってもらえるような用件でないことは察しがつきます。そこで、突然訪問して取材するほうがいいと考えたんです。駅員さんに住所を見せ、国道をひたすらまっすぐ進めば左側に大きな家がある、たぶんその辺りじゃないかと聞いていました。

でも行けども行けども見つかりません。引き返したくなった時、大きい家が。
ドキドキして駆けよると、長いへいに囲まれていますが、車の出入りのためか門はなく広々とあいているのが入口でしょうか。そこから広い庭というより木も何もない車の出入りのための広場があり、左側の屋根だけついている車庫には3台のキャデラックのような外国の大型車がとまっています。あと3台くらいはとまれる余裕のある車庫で、これでは在宅か留守かわかりません。

奥の屋敷の玄関のほうに向かって「ごめんください」と大声をあげましたが、誰も出てきません。ベルを見つけて鳴らしましたが、それにも応答がない。5分ほどしてまた大声をあげ、またベルを鳴らしましたが、梨のつぶて。留守なのかなあ。せっかく来たのにこのまま帰るのもしゃく。とにかくもう少し待ってみようか。でも日かげもないし坐るところもない。

10分たち、20分たち…、このままずーっと夕方まで待つわけにも行かない。一旦駅へ戻ってもう一度夕方にでも出直すしかないかしらと思ったその時、大きな外車がもうもうと砂ぼこりをあげて入ってきたのです。

第11回はここまで。
次回11月6日の「劣等生の就活」⑥
「vol.12 津田塾の威力」に続きます。

vol.11 『劣等生の就活』 ⑤「未亡人の父親を探して」