さて、21歳の時代に戻ります。ヤングレディ事件班のことですが、編集会議といいつつ毎回10分で終わる。それには訳がありました。それぞれ、どこかでつかんだネタを持ちより「おっ、それはいけるな」「じゃ、これをしばらく追ってくれ」という感じで、次週の事件ものが決まる。まあ、週初めに顔を合わせるのが目的で、既に電話で決まっているのもあるわけです。

私は銀座や池袋で飲むこともないし(そもそもお酒は全く飲めませんでした)、ネタを持っている人脈もないので、どうすれば週刊誌に載るような材料を提供できるか悩みました。新聞に出て話題になっているものをテレビも週刊誌も追って微に入り細に入りプライバシィを暴くように報道するのが昨今の風潮のようですが、人の後追いはしない、何か目新しいネタをスクープするというのが事件班のひとつの鉄則のように感じたので、私も、どこも追っていないものを探そうと考えたのです。

そこで毎週、国会図書館に出かけました。そこには全国の地方紙があるからです。片っ端から三面記事を読み、ピッとくるものをメモしました。毎回、20くらいのメモをして帰寮。その中から10本を選び出し、タイトル、中見出し、そして概略を書く。それぞれペラ1枚にします。ペラとは200字の原稿用紙1枚のこと。

護国寺にある講談社ビル

会議の日、いつものように10分でみんなが散ろうとした時、恐る恐る私が
「あのう、私もネタを10本用意してきたのですが」と言うと、
「ほお、見てやろう、みんな悪いがちょっとより子に時間とってくれ」とTsuさん。
その週から会議は毎回一時間近くとなったのですが、みんな良く私に付き合ってくれたと思います。

「それはネタとして面白いが切り口が男性週刊誌風だ」
「文藝春秋向きだな、ヤングには無理だ」
「ヤング向きだがタイトルが固い。純文学だな、それでは」
という具合に一本ずつ批評をしてくれるので、どういうものがヤングレディ向きなのか、どう切り込むと同じ素材が月刊誌向きになったり、男性誌風になるのかつかめるのです。
そこで次週は地方紙の三面記事の探し方もタイトルの付け方も変わってくる。これは本当に勉強になりました。毎週毎週、彼らがちゃんと付き合ってくれるので、こちらも怠けているわけにはいかず、必ず10本の企画を持っていきました。

第16回はここまで。
次回12月18日の「劣等生の就活」⑪

「vol.17 活字はこわい」に続きます。

vol.16 『劣等生の就活』 ⑩「編集会議に毎週10本の企画」