結婚前に教師をしていた人でも、一旦辞めると再就職時に年齢制限に引っかかるんですよ。
理系の学科を出て中学の教師をしていたIさんは結婚出産後も仕事を続けていたのですが、料理店を経営していた夫の両親に説得され、ついに教師を辞めて店を手伝い始めた。古い土地だと、なかなか仕事を続けるって主張できなかったみたい。それに何となく夫とも上手くいかないから、自分さえ辞めればと思っちゃったんですよね。ところがその後、夫とも両親とも関係が悪化。悩みぬいた末に、子どもを連れて家を出ました。

アパートを借り、再就職活動を始めたけれど、元の教職に就けない。というのも公立学校では年齢制限があり、当時は35歳以下でないと採用試験すら受けられなかったのです。門前払いもいいところですね。

やっと彼女が見つけたのは某一流企業の研究所の研究員。
「いいじゃない、あなたの特技も活かせるし」
「うん、仕事は面白いのよ、でも待遇はパートだから、それじゃ食べていけないのよ」

私が議員になって真っ先にした質問はこの年齢制限の撤廃についてでした。文部省(今は文部科学省)に聞くと「教職員の採用年齢は各自治体に任せているのでわからない」という答え。保母さんはどうかと尋ねると、厚生省(今は厚生労働省)は「全く把握していません」。

各企業の採用はというと「各企業の自由ですし、年齢差別については我が労働省では検討していません。男女雇用機会均等法の担当ですので性差別についてならお答えできますが」
とまあ、どの省も年齢差別禁止にはとんと関心のない様子。
データがないと質問できないので、秘書の人たちと総出で都道府県・政令指定都市・中核都市などから選んだ50ヶ所に電話をしました。

教師で35歳、保母さんに至っては27歳というのが圧倒的に多かったですね。
保母(今は男性もいるので保育士といいますが)の資格をとって就職し、やがて結婚出産し、事情があって退職するとします。自分の子育て経験を活かして30過ぎに就職しようとしても採用試験を受けられない。年齢が高いと給料も高くなるということと、公立と私立で保母などの給与格差の問題があって、雇う側の都合で再就職時の年齢制限を習慣にしてきたのでしょうが、平均寿命が長くなった今、人生のやり直しが利く柔らかな構造の社会にすることはとても重要だと思います。

バブルが崩壊し、倒産失業が増えたことで男性の再就職の困難さが問題になりました。40代50代で再就職する際、年齢がハンデになるということで、政府に年齢差別に関する審議会ができました。その後、ようやく新聞等の求人欄に○歳までといった年齢制限を載せることが禁止されたのですが、この国は、ひがむわけではありませんが、長年女性が再就職で困っていても見向きもしてくれないのに、男性が年齢制限で困るようになると緩和や撤廃に向けて動き出すんです。
よおく注視していてごらんなさい。そういうことが山程ありますから。これは法律や制度をつくる(※)国会や霞が関に女性が少ないからでしょうか。政治への圧力団体である経済界や労働界のトップにも女性が少ないことが関係しているかもしれませんね。

医者の友人が「女性のかかりやすい病気の治療研究は遅れている」と言っていました。科学者・研究者・法曹界といった分野にも、もっと女性が進出することも大事だと思います。

 

第34回はここまで。
次回4月23日の「女性のライフスタイル」④
「vol.35 専業主婦はお得?」に続きます。

 

<脚注>
※ 2012年12月の総選挙で衆議院に占める女性国会議員の割合は、なんと1割を切ってしまいました(7.9%)。少しずつ女性の力を活かせるよう法律などを変えてきたのに、本当に残念です。

vol.34 『女性のライフスタイル』 ③「再就職時の年齢制限」