アベノミクスはポピュリズムの最たるものと言ったら、えっと驚き、反論する人は多いかもしれませんね。株は上がっているし、円安になっているし、景気は上向いているのに、何で水をさすんだと怒られ、どこかから玉が飛んできそう。

でもね、2%にインフレ目標を設定しますなんていう日銀総裁を選んで、もう既に円安でガソリンは上がっている、パンもうどんも食料油もあがる、電気代もあがる。つまり生活必需品は2%どころじゃなく、5%も10%もあがるかもしれないんですよ。

安倍さんがテレビで「確かに円安だと輸入品は値上がりしますが、その分国産品を買ってもらえば国内の生産者が助かります」みたいなことを言っているのを聞いて、アレッて思いました。国内の製産品、つまり国内で作られているものだってその材料の大半は輸入だから、円安になればそれだけ国産品も値上がりする。このこと安倍さん、わかってないのかしら。いや、総理までなる人だもの、わからないわけないですよね。じゃ、ごまかしているだけなのかしら。

いずれにしても、円高って庶民にはけっこうよかったのよ。デフレだって、給料まで下がるのは困るけど、物価が安いことは、非正規で働いている人や、年金ぐらしの人にとってはとても助かってた。それがこれからどんどん物価が上がって給料はこのままじゃ、どうすりゃいいのよって感じ。そこで安倍さん、給料あげて下さいなんて経済界に陳情。

いち早くローソンが給料上げますといい、まるで美談みたいに新浪社長がとりあげられていたけど、もちろん正社員の3000人だけで、それもボーナスで上げるだけだから総額5億円。広告費だとしてはすこぶる効果的。2万人の非正規の人には恩恵なしですって。あとに続く企業はもう広告効果はないけど、出遅れたくないのよね。それなのにテレビも週刊誌も大新聞まで、安倍さんのおかげみたいに持ちあげています。

物価が2%になってデフレ脱却というのは、これから確実に食料や家賃や日常品などと医療費が上がるということですから、大企業がちょっと一時金を上げたくらいで、嬉しがっているわけにはいかないことを、どうして誰も書かないのか、言わないのか。恐ろしいですよねえ。まともなことが情報として伝わらないのは。

そもそもちょうど野田さんが解散しますと言った前後に、アメリカと日本の株価は底から上がる気配を見せていた。株高になるのがわかっていたのに解散した野田さんも野田さんだけど、何も株高円安は安倍さんのおかげじゃない。といっても負け惜しみに聞こえるかも。運をよべるっていうのは大事なことだもの。とはいえ、円高がデフレの原因だというのはおかしい。円高の時に超インフレだったことは歴史上何回もある。

杉田敦さんという法政大学教授が著書「政治的思考」の中でポピュリズムを次のように定義しています。「ポピュリズムとは、多数派にとって不都合な問題をすべて外部に原因があるとすることで、真の問題解決を避ける政治である」と。問題がある時、誰かのせいにする、つまり敵を作るとうまくいくらしい。

小泉さんにとっては郵政だった。党内の郵政改革の抵抗勢力を切り、刺客を送って大勝したけれど、郵便局が改革されて人々が幸せになったかしら。橋下さんは、地方に権限があればといい、うまくいかないのはすべて国のせいにする。まあ、民主党も政治主導だといって官僚を敵にしたから同じだけど。

そして安倍さん。デフレから脱却できないのは日銀が悪い。大胆な金融緩和をやらないからだ。インフレ目標を2%にしないからだとやっつけた。

今まで、じゃぶじゃぶお礼を刷って量的金融緩和もしたし、ゼロ金利も続けていても、20年以上デフレが続いている。金融緩和ではデフレ脱却できないのは実証済み。今はヨーロッパの金融危機もちょっと納まり、アメリカ経済も良くなってという世界の状勢がみんな上向いているから良くなっているだけ。現に、キプロスでちょっと問題が発生しただけで、株価は270円も下がった(3月18日)でしょ?

「誰か」を敵にすると、けっこう拍手かっさいされるけど、これって恐ろしい。国内がうまくいかない時、どこか敵国を作って国民の目をそらすって歴史上よくある常とう手段だけど。

興味のある方は円テレビの「経済の今を読む」を観て下さいね。
第38回はここまで。
次回5月21日の「危険な時代」③
「vol.39 荻窪駅で憲法96条改正について聞きました」に続きます。

vol.38 『危険な時代』 ②「物価を2%上げるって困るのは庶民よ」