この半年、松江、丸亀、高松、神戸、京都、大垣、名古屋、長野、仙台、秋田、札幌、旭川等々で女性たちと熱い意見交換をしてきました。「女性のための政治スクール」卒業生らが彼女たちの知人・友人を呼んでの会合を開いてくれたのです。

大きな労働組合の組織内候補の人たちは参院選のために何万人の人々に会っているらしい。それから考えると本当に微々たる人数ですが、この人たちがみんな燃えていて、2時間の予定が4時間になることもしばしばでした。

それはなぜか。

安倍総理は、今、世論の反発を受けて、憲法96条改正を参院選の公約からはずしましたが、明らかな争点隠しだと女性たちは怒っています。

参院選では自民党圧勝といわれていることにも彼女たちは危機感を持っています。
「だって円さん、自民党が勝てば96条の改正手続きを簡単にして、あの自民党改憲案を通そうとしているのは見え見えですもの」

そう、あの改憲案! 9条の問題だけじゃないんですよね。なんと24条まで変えるという。

24条、もう一度読んでみましょうか。
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」

1946年に22歳だったベアテ・シロタ・ゴードンさんはGHQの一員として、この「男女平等」の条文を作った女性ですが、私は彼女が参議院の憲法調査会に呼ばれて参考人として話した時のことをよく覚えています。

彼女はこう言ったんです。「日本側は、こういう女性の権利は日本の国に合わない、日本の文化に合わないと猛反発し、大騒ぎになったんです」と。

ああ、この憲法はすごい難産の末に生まれたんだ。よく産まれてきてくれたなあと感謝しなきゃと思いました。

アメリカに押しつけられた憲法だから変えようと安倍総理は言いますが、女性たちはこれを「ベアテの贈りもの」と言います。親しくしてもらっている細川内閣の時の文部大臣だった赤松良子さんは「いやなものをあげるのは押しつけというが、素晴しいものをものをいただいた。だからこれは贈りものです」と私の円テレビに出て下さった時もおっしゃっています。

その24条を変えるのは、同性婚がアメリカやヨーロッパで認められているから、婚姻を同性の合意でもいいとするのかしら、なんて思ったら大間違い(こういうこと言うだけで日本じゃ大激論になるかも)。24条に「家族は、互いに助けあわなければならない」とつけ加えられているのです。

家族は助けあうのが当たり前だから、別に問題ないと思う人もいるでしょうね。

ただ、気をつけないといけないのは、今まで自民党はずっと、家族の助けあい、自助を優先することで社会保障費を抑制してきたんです。育児しかり、介護しかり。男女の性別役割分業を固定化し、女性にまたも家族の世話をさせようという意図が見え隠れしていると自民党改憲案に危機感を持つ学者たちは言っています。抱っこし放題3年育児休業延長という裏には3歳児神話を復活し、女性が育児をするのが当然という気持ちも見えますしね。

保育所を整備し、待機児童をなくす。特別養護老人ホーム等の施設をつくる。保育士・介護士の低い収入を是正していく。そういう社会が子育てや介護を支える仕組みをしっかりつくることを放棄して、家族の助けあいという道徳だけを押しつけても、人々は疲れ切るだけでしょう。でも、離婚は個人主義で我がまま、子育ては親がやるのがあたりまえ、家族を大事にしない個人主義は日本の生態系を破壊するみたいなことを強調する人たちが、安倍総理のまわりには多いみたいです。

だから、「日本国民は」と国民が主語になっている憲法を、自民党は「日本国は」に変えてしまう。13条の「すべて国民は、個人として尊重される」の中の個人を人に変えてしまうし。

今の憲法下でも正規雇用がどんどん非正規に切りかえられ、いたるところで生存権が損なわれている。福島や沖縄ではずっと生存権までおびやかされているといっていいでしょう。

これが「個人」が尊重されない憲法になったらどうなるのでしょう。

産まれたときからあった贈りものは空気みたいにあたりまえと思ってました。もっと私たち、憲法と政治について考えなくちゃ。女性たちは燃えています。この熱気で右傾化する安倍政権にブレーキをかけなくちゃ。

第47回はここまで。
次回の「女子たちへ-人生は波乱万丈」は未定です。

vol.47 『危険な時代』 ⑪「憲法24条まで自民党は変えるの?」