衆院だけでなく参院でも強行採決されて、特定秘密保護法(※1)が成立してしまいました。
選挙で大勝し、衆参のねじれも解消。アベノミクス(※2)は大成功で、円高は是正され、株価も上がった。「怖いものなし」の安倍さんと自公は、民意などおかまいなしに何でもできると思っているようです。

この法案の次は「集団的自衛権行使の容認」であり、「憲法の改正」です。そして私たちには情報が開示されず、お互いを監視し合うような冷たい社会がやってくるかもしれない。互いに憎しみ合ったり、恨みあったりする社会がいいとは思えません。

今年は「倍返し」という言葉が流行語大賞を受けました。確かに理不尽なことに巻き込まれれば悔しいし、仕返しもしたくなるでしょう。倍返しできればスカッともします。でも、自分が土下座させられたからって相手を土下座させて気持ちが良くなるものでしょうか。

戦争が終わったのに日本に帰れずスターリンの密命によってシベリアに連行され、強制労働で凍死・餓死していった人たち、原爆を落とされて命を失った人、被ばくに苦しみぬいた人、まじめに平凡に生きていた人たちが時代と運命に翻弄されていく。国や軍部、スターリンを恨んで百倍返しだと叫んでも為す術はありません。

でも、私たちはそうした人々の声をしっかり受け止めて互いを監視しあったり、憎んだりして分断されることのないように、しっかりと意見を言い合える、情報を伝え合える、平和な社会を維持するために闘うことはできるんです。
知識と情報を武器に!

特定秘密保護法が強行採決された時、「次の選挙で百倍返しするわ」と言った人がいました。
そうですよね。憎まず、恨まず、でも選挙で賛成した人を落として廃案にしましょう。でも、きっとみな3年後の選挙では忘れてしまっているんじゃないかな。テレビやインターネットの発達で、次から次に私たちは忘れていき、考える暇もなくなっています。来年になったら、きっと別の事でテレビも新聞も騒いでいるかも。

マンデラさん(※3)は27年も過酷な獄中生活を送ったとか。それでも彼は、差別をしつづけ彼を獄に送った白人たちを「許した」のです。並みの人間ではできないことです。マンデラさんのようになるのは難しいけれど、秘密保護法ができようが委縮せずどんどん秘密をあばいて、それでジャーナリストや市民がどんどん逮捕されたら、関係ないと思っている多数の人が静かに立ち上がって、官邸を何万もの人が取り囲むかもしれません。

※1 特定秘密保護法
同法案は、日本の安全保障に関する事項のうち「特に秘匿を要するもの」について行政機関における「特定秘密の指定」、「特定秘密の取扱いの業務を行う者」に対する「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」が可能な場合の規定、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」等について定め、それにより「その漏えいの防止」を図り、「国及び国民の安全の確保に資する」趣旨であるとされる。

※2 アベノミクス
第2次安倍内閣が行う、デフレ経済を克服するためにインフレターゲットを設定し、これが達成されるまで日本銀行法改正も視野に、大胆な金融緩和措置を講ずるという金融政策。

※3 マンデラさん(ネルソン・マンデラ)(1918年7月18日 – 2013年12月5日)
南アフリカ共和国の政治家、弁護士。
第8代大統領、下院議員(1期)、第11代アフリカ民族会議議長を歴任。
若くして反アパルトヘイト運動に身を投じ、1964年に国家反逆罪で終身刑の判決を受ける。27年間に及ぶ獄中生活の後、1990年に釈放される。翌1991年にアフリカ民族会議(ANC)の議長に就任。デクラークと共にアパルトヘイト撤廃に尽力し、1993年にノーベル平和賞を受賞。1994年、南アフリカ初の全人種参加選挙を経て同国大統領に就任。民族和解・協調政策を進め、経済政策として復興開発計画(RDP)を実施した。1999年に行われた総選挙を機に政治家を引退した。

第64回はここまで。
次回は12月17日に。


vol.64 『あぶない社会の到来?』④「なぜ、そんなに急ぐのですか」