1981年から続けてきた離婚女性の会「ハンド・イン・ハンドの会」の活動を
休止して1年が経ちました。
30年もやっていると30代だった私も会員も年をとるし、
何より毎日テレビや雑誌に出ていた頃は新会員が増えて、
会の新陳代謝も活発でしたが、だんだん先細りして、ピーク時は
4000人以上に会報誌を毎月送り、会合も月2回東京で開くだけでなく、
大阪、名古屋でも集まっていたのが、休止した時には1/5に減っていました。
でも、今でもハンド・イン・ハンドの会のメンバーが訪ねてくれます。
先日、その1人からこんな話を聞きました。

銀行に勤めている息子さんが外資の金融機関から転職しないかと
誘われたらしいのです。
年収は5~6倍になるし、先に転職した先輩の六本木ヒルズの部屋に
招待され、「君もあんな貧乏たらしい寮じゃなく、ヒルズに住めるよ」
と言われたとか。銀座の高級クラブにも連れて行かれた。
「お母さんすごいんだよ」と毎晩電話をかけてくる息子に彼女は不安を
感じたらしい。
「人のため、国のために一緒にこの仕事をしてみないかというようなことが
全く出てこない。ただ、金、金、金で贅沢な生活ができるということで、
息子を誘っている。仕事ってそういうものじゃないと思う」
彼女は自分の気持ちを話した。
息子は当然反発。「お母さんは僕が六本木ヒルズに暮らせるようになるのを
いいと思わないの」
「お母さんが返してくれている僕ら兄弟の大学の奨学金だって、
すぐ返せるんだよ。お母さんが身体を壊すほど苦労して働いているから、
僕だって親孝行したいんだ」
毎晩、息子と電話で話したそうです。
「必死でした、私も。外資になんて行ったって、使い捨てにされる
だけなのにと私は思うから」
それから半年。久しぶりに上京した彼女に会った息子は、
「お母さん、身体を張ってあの時反対してくれて良かった、ありがとう」
と、言ったそうです。

今はお金の稼げることで人の価値を判断する人が多い時代です。
彼女のように、息子を止められる人はそう多くないかもしれませんね。

第66回はここまで。
次回は12月31日に。

vol.66 「母は強し」