私が、第169国会に紹介議員となった「美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの製造・販売を規制する法律の制定に関する請願」(第2525号、平成20年5月14日受理)につき、事実関係を整理してご説明します。

まず、この請願の要旨は以下の通りです。

街中に氾濫(はんらん)している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、小学生の少女をイメージしているものが多く、このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている。これらにより、幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らかで、表現の自由以前の問題である。社会倫理を持ち合わせていない企業利潤追求のみのために、幼い少女を危険に晒している商品を規制するため、罰則を伴った法律の制定を急ぐ必要がある。
 ついては、美少女アダルトアニメ雑誌及び、美少女アダルトアニメシミュレーションゲーム製造及び販売規制の罰則を伴った法律を制定されたい。

この請願に対し、「美少女アダルトアニメを楽しむ人達に対する無理解や差別的表現が見られる請願を出すとは、国会議員として不見識」とのご批判や中傷が相次ぎました。その中には、必ずしも請願の手続きや私自身の見解をご理解いただいていない方、請願が私の個人的見解と誤解されている方も多いように感じましたので、以下詳しくご説明します。

本請願の手続きについて

この請願は、特定非営利活動法人カスパルの代表者ほか6,549名の方々の署名とともに提出されたものです。国民が国政に対する要望を直接国会に述べることのできる請願は、憲法第16条で国民の権利として保障されています。私のもとには、各国会会期中に数十件の請願について紹介議員になって欲しいという依頼がありますが、あまりに私自身の政治的立場と異なるもの以外は基本的に紹介議員となってきています。憲法の趣旨を踏まえ、国民が政治に意見する権利を基本的に尊重したいと思っているからです。

また、参議院規則第164条によれば、請願の用語は「平穏」でなければならないとされていますが、本請願は参議院事務局によりその要件を満たしていると判断され、同条の定める手続きによって適切に受理されました。

また、参議院規則第168条は、「請願を紹介した議員は、委員会から要求があったときには、請願の趣旨を説明しなければならない」と定めています。これは請願の権威を高めるために設けられた規定であり、紹介議員が紹介そのものについて責任を負うことを求めるものですが、請願の内容・表現にまで議員が責任を負うものではありません。

なお、本請願は、参議院内閣委員会における審査の結果、採択されず「審査未了」となりました。

子どもの商業的性的搾取には規制を

美少女アダルトアニメやゲームは、明らかに未成年の子どもと思われる少女たちが犯され凌辱される、大人でも正視に堪えないような露骨な性虐待描写が使われています。特に近年のゲーム機の技術的進歩によって極めてリアルな表現が可能となっており、大人が幼い少女を思いのままに操って、性欲の奴隷に仕立て上げていくアニメやゲームが規制なく流通していることは、あまり健全ではないと思います。

もちろん、性描写も含めて、表現の自由は尊重すべきですし、性産業は古今東西、人が生きる限り存在するとも言われます。仮に規制が必要だとしても、規制内容は慎重に検討する必要があります。しかし、子どもの商業的性的搾取に関連し、日本人によるアジアでの児童買春と、日本国内で大量につくられる児童ポルノに対し、各国から非難が相次いでいます。そうした非難を受け、日本政府は法整備や取り締まりの強化を表明してきました。自民党においても、「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」が立ちあげられ、罰則規定を含む法体制の整備を提言するなどの動きがあります。

また、児童の性的虐待問題も、条約改正や学校教育のあり方を含むあらゆる角度から検討し、総合的な施策として取りまとめるために、私は民主党の「児童の性的虐待問題に関するプロジェクト・チーム」事務局長(座長は枝野幸男衆議院議員)を務め、児童買春、児童ポルノを禁止・処罰し、被害児童の保護について定めるいわゆる「児童買春・児童ポルノ規制法」を99年に成立させました(与党案が、警察の裁量が大きくなりすぎ、表現の自由を不当に侵害するおそれがあったために、民主党が修正の上で成立)。

被害を受けた子どもたちのケアを

なお、今後課題になるのは、性的虐待や児童ポルノ事犯による被害者等により心身に有害な影響を受けた児童のケアを充実させることです。児童買春・児童ポルノ規制法施行後も、児童心理司によるカウンセリング、緊急時の一時保護、医療的なケアや児童相談所での相談などについては、必ずしも十分ではないとの指摘があります。

政府は「児童ポルノ排除総合対策」を策定し、こうした取り組みを強化していく姿勢ですが、犯罪の防止と、被害者のケアの両輪から、施策を充実させていくことが必要だと思います。