私が、「外国人参政権を推進している」として「売国奴」などと強い口調で批判が寄せられています。この件につき、誤解に基づく批判も多いため、事実関係を整理してご説明します。

民主党の方針

まず、私の所属する民主党は、結党時の「基本政策」に「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する」と掲げており、この方針を「今後とも引き続き維持」するとしています(民主党政策集INDEX2009)。なお、現在、民主党においては、「定住外国人」を「永住外国人」として明確に定義するとともに、「地方参政権」についても「地方選挙権」として被選挙権を除外しています。私の立場は、この民主党の方針に従っています。

請願の紹介議員と集会への出席について

一方、国民が国政に対する要望を直接国会に述べることのできる請願は、憲法第16条で国民の権利として保障されており、永住外国人の地方選挙権を認めるよう求める請願については、上記民主党の方針もあり、私の政治信条と大きく異ならない限りにおいて、紹介議員となっています。但し、紹介議員になったからといって、請願を提出された団体の方々、具体的な法律案を検討されている団体の方々などと、そうした請願の内容や法律案などについて、私が関わっている事実はありません。また、過去には、永住外国人の地方選挙権を認めることに賛成・反対両方の請願が多数国会に提出されていますが、いずれも「審議未了」となっており、採択されたものはありません。

また、永住外国人の地方選挙権を認めることを主張される団体が主宰される集会に、民主党の代表が出席の要請を受け、その代理として「民主党副代表」であった私が、出席したことがあります。その際、民主党の方針に基づいて挨拶をしたことがありますが、私個人の立場からの発言ではありません。

永住外国人の地方選挙権に関する議論

永住外国人の地方選挙権については、民主党や公明党、共産党などが賛成の立場であり、各党はこれまでに法案を提出した経緯もありますが、一方で強い反対論もあります。民主党が政権交代を果たして以後、上記方針を具体化する旨発言した党幹部が、嫌がらせや脅迫を受け、警備が強化されるという事態となったことは、この問題に対する国民の賛否が大きく割れていることを示していると思います。

民主党の方針は、永住者が住む地域の自治体と生活の上で密接な関係を持っているため、その意思を自治体の公的事務に反映させることが望ましいという考え方に基づくものだと理解しています。

永住外国人といった場合に、約49万人の一般永住者(中国人約14万人、ブラジル人約11万人、フィリピン人約7.5万人など)と、約42万人の特別永住者(戦前日本に住んでいた朝鮮半島出身者とその子孫が99%を占める)が主に議論の対象となります。反対論には、全国で数十万人の人口を有する外国人が地方選挙権を獲得すれば、ある自治体を反国家的な支配状態に置くこともあり得るとの危惧や、安い賃金で仕事をする外国人に、自分の職を奪われるのではないかという不安が背景にあると思います。

しかし、外交や防衛、通貨・金融政策など、国家の安全保障に関わる事項については、外国人に選挙権を付与してその意思を反映させることは適当ではありません。国政レベルの参政権は、日本国民に限定すべきです。また、外国人労働者については、高い能力を持ち、日本の経済成長に貢献できる有能な人材を受け入れることは好ましいことですが、外国人であっても日本人と同様の最低賃金や労働基準は当然順守しなければなりません。

歴史を踏まえ未来志向の政策を

他方、人類の歴史を振り返れば、わが国では縄文時代に数十万人だった人口が、朝鮮半島からの渡来人がやってくることで、弥生時代には人口が数百万人に増え、生活様式や文化、農耕などの技術を学び、その後の中世から近代、明治維新に至るまで、朝鮮半島や中国、東南アジアやシルクロードに通じた中央アジア、大航海時代のヨーロッパなどとの密接な交流の中で培われた独自の文明を発展させるに至ったこと、諸外国においても、ローマ帝国、中国、大英帝国などはいずれも、周辺諸国からの民族流入や交易といった相互の往来によって国家が成立・発展したてことを想起すべきだと思います。

なぜ日本経済は停滞するのか

さらに、わが国においては、バブル崩壊後の「失われた20年」と言われる経済・社会の停滞が続いています。人口が減少して経済の拡大は見込めない一方、高齢化による社会保障負担の増大と財政の悪化が拡大しています。諸外国からの直接投資は先進国では最低レベルで、金融面でも東京市場はシンガポールや上海の後塵を拝するようになりました。

こうした経済の停滞を打破し、成長を取り戻すことが重要です。経済成長にはイノベーションと労働生産性の上昇が必要であり、そのためには、人々に自由な活動を許す社会の寛容さが求められます。

日本の近隣諸国の状況で言えば、北朝鮮と韓国の国民生活水準の違いや、中国も毛沢東の共産主義体制が人々の生活水準を向上させられず、1970年代末に改革・開放政策が採用されて初めて、国民の生活水準が向上したことを想起すべきです。即ち、国を海外に開き、自由な資本主義体制を採用することが、経済の成長を実現しうるのであって、閉鎖的な論議が盛んなことには懸念を持ちます。

外国人労働力よりも開かれた経済体制の議論を

このように、労働生産性が上昇すれば、豊さは維持できます。仮に2%の生産性上昇が50年続けば、実質GDPは2.7倍になる計算です。少子高齢化によって労働人口が減少することを不安視する向きもありますが、労働人口は、高齢者や女性の就業者数が増えれば維持できます。中長期的に見て2.7倍の労働力を海外から受け入れることよりも、生産性上昇を2.7倍に引き上げる方が現実的です。

繰り返しになりますが、新しい起業家精神にも乏しく、新しいアイデアに基づくビジネスが生まれない日本の現状を打破するためには、外国人であっても、日本の大学で学びたい、日本でビジネスをしたい、日本に旅行してみたいと思う国になることが必要です。そして、高度な知識や個性的なアイデア、感性、才能が活かせるオープンな日本社会を作るべきです。そのためには、もう少し異質なものを理解し、受け入れることが求められるでしょう。