強盗罪より刑が軽かった強姦罪がやっと変わることになりました。
男性が被害者ということもあり、性差をなくすし、法定刑の下限を強姦は5年、強姦致死罪を6年に引き上げるという。
私は国会議員になって3年目の頃だったと思います。法務委員会に所属していて、この強姦罪の刑が軽すぎること、被害者の抵抗要件をはずすように訴えたのです。強姦は当人が訴えなければ起訴されない親告罪で、今回の改正では告訴がなくても加害者を起訴できるようにもなります。
しかし、抵抗要件は相変わらずそのまま。
この抵抗要件というのが曲者なのです。強姦だと認められるには最大限の抵抗をしなければならないということで、その奥には「些細な暴行、脅迫の前にたやすく屈する貞操の如きは強姦罪に保護されるに値しない」という考えがあるんだそうです。
恐ろしくて大声を出せない人だっているだろうし、抵抗して殺されかねないケースだってあるだろうしと考えると、この抵抗要件って変だと思いませんか。この抵抗要件が裁判ではどのように考えられているかを示す判例のいくつかを委員会で紹介しました。
そもそも強姦されたって訴えるのはとても勇気がいるんです。
家族、友人、恋人だって味方になってくれるとはわからない。「汚れた女」だなんて平気で烙印を押す人間だっている。家族が「訴えるな」ということも多い。警察に行くと根掘り葉掘り聞かれて第2のレイプのように落ち込む被害者も多かった。
そこでまず、私は女性警官を増やし、被害者の心のケアまでできる研修をするよう要望し、これは議員の間にかなり達成されました。
しかし、やっと裁判になってもこの抵抗要件が被害者の心をこっぱみじんにしてしまう。判例にはこうあったんです。「通常の性行為で着衣が破れるのは間々起こることであり、この事件で着衣が破れたからといって強姦とはいえない」
ええっ!日本の裁判官って着衣が破れるような性行為がふつうだと思っているの?アダルトビデオの見過ぎじゃないの?
話が横にそれますが、国会中継を見ていると居眠りしている議員が多いですよね。本当にウツラウツラしている人もいるけど、目をつぶっているだけの人もいる。法務委員会で私がこの判例を読み上げたら、法務大臣経験のある長老たちがカッと目を見開いて「何だ、その判例は。日本の裁判はおかしいぞ」と異議を唱えてくれました。
こんな裁判官が多い中、この抵抗要件が今まで通りだとしたら、改正後も本当に被害者が救済されるのか心もとない限り。しっかり裁判等を見守っていかなくては。