「こんな人たちに負けられない」と安倍総理は興奮した顔で声を張り上げた。
2017年都議選最終日、秋葉原での街頭演説での出来事である。TVをつけると、ちょうど、
「アベ、帰れ」「アベ、やめろ!」のシュプレヒコールが響いていた。
「おっ、面白い。」と思った。国会前ではともかく、街頭演説で総理に対してかなりの人数で
「帰れコール」や「やめろコール」がおきるのはあまり無いのではないか。
2m4方はある「安倍やめろ」横断幕を街宣車の上の安倍さんからも見えるように何人もで
頭上に掲げている。どこかの集団が作ってもってきたのかもしれないが、ネットで集まった
「ふつう」の一般人だっていたはずだ。籠池さんまでいたのだもの。

それを「こんな人たち」と安倍さんは敵視した。秋葉原は安倍さんにとって、12年総裁選以降、
衆参計4回の国政選挙で勝った際、歓迎のアベコールがこだました忘れられない聖地。
そこでの「帰れコール」は応えただろう。

自民党への逆風の中、総理への都議選応援の要請がない中で、唯一、東京第1区千代田区の
秋葉原ならばと繰り出したのに、この「帰れコール」はなんだと、安倍さんは激怒したに違いない。
『俺は総理だぞ。わざわざ国政でもない、一地方選の応援に来てやってるんだぞ。
ありがたく聞くのが礼儀ってもんだろ』と思ったかどうか。

 「こんな人たち」とやってしまった。国会でもしばしば野次に対して反応している人だもの。
習い性になっているんでしょうね。私も17年間国会にいて、歴代総理の答弁を予算委員会室や
本会議場で間近で見てきたが、こんなに短気で野党にすぐさま反応し、
異を唱える人は見たことがない。

質問の際、礼を失した言い方をする人もいれば、腹の立ちそうな野次を飛ばす人もいる。
(これは政策の違いではなく、相手を誹謗するような言い方、ニュアンスという意味だ)。
しかし、多くの場合、ぐっと我慢してやり過ごすか、気の利いたユーモアでかわすかする
総理が多く、私など「さすが権力を持つ、持たない人に対して鷹揚だな」と思ったものだ。

それが安倍さんは総理席からまで野次を飛ばす。権力者の自覚がないし、
幼稚な性格がTVで丸見えだった。だから秋葉原の件も安倍さんらしさの帰結である。
しかし、「こんな人たち」の背後には私たち国民がいる。

私たちはついに悟ったのである。ああ、この総理はやっぱりお友達だけと仲良くして、
私たち国民のために働いてくれているわけではなかったのね。自衛隊を都議選に利用
しようとした稲田防衛大臣、誤解しようもない言葉なのに誤解という言葉を35回もくり返して、
反省も謝罪もうわべだけの防衛大臣を罷免もしない総理。

「THIS IS 敗因」といったのは中谷元防衛大臣だけど、このT=豊田はアベチルドレン、
H=荻生田副官房長官、I=稲田防衛大臣、S=下村元文科大臣で、現自民党東京都連会長の3人は
側近中の側近。そう、こういう仲間うちだけの声を聞いている総理に、
私たちの暮らし、将来の不安はわからないわよね。

有権者は賢明である。安倍さんのことは信用ができないが、民進党も信頼できない。
ようやく不安と不満の受け皿があらわれた。それが、都民ファーストの勝利と
自民党惨敗につながったのである。もちろん民進党も大惨敗と認めるべきである。

書=細川護熙
書=細川護熙
メッキのはげた政権